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会社で生き抜く方法 その2 他人より先には自分を見限らないこと

このブログはコメント禁止になっております。
どこのどなたかわかりませんが、コメント送っていただいたことに今日気がつきました。
すみません。
励ましていただいてありがとうございます。m(_ _)m


今日は、私のしょうもない過去を書きます。


私は、最初、O氏という、学術書と生活実用書とジャーナリスト本などを手がけている
非常に面白い編集者に育ててもらいました。


新入社員だった私は、とんでもない社員だったと思います。
会社もゆるゆるだったせいですが、まあ、辞めさせられても仕方ないぐらいひどい
社員でした。
さすがに入社から半年ぐらいは遅刻しませんでしたが、その後は編集部で誰より
遅く出社する問題社員でした。

入社早々、私用電話やらかしまして怒られました。

O氏のもとで仕事してましたが、O氏に「この原稿読んでおいて」と言われた持ち込み
原稿の博士論文を、難しくて読むのが面倒だったために放っておいて、O氏があきれて
自分で読んで処理してました。

O氏は毎日10時まで残業する人だったので、私も一緒に毎日10時まで残業してましたが、
これのせいでいまだに残業で仕事こなすクセがついてます。
いまのビジネスマンの常識では、段どり下手のダメ社員だと思います。





最初に作った本では、デザイナーから出てきたデザインがイヤだったのに、なんと言って
変えてもらえばいいのかわからなくて、そのまま本にしてしまいました。いまだにあんな
ひどいデザインの本はないと思ってます。

初めて著者から原稿が来たときには、これで果たして売れる本になるのか自信がなく、
GW中ずっと泣いて過ごしました。

著者の原稿に手を入れたら、「あんたは無能な編集者だ。講談社の編集者は一言一句
直さなかった」と怒られ、3年間凹んでました(結果、講談社の本より売れて、その人の
生涯の本で一番のベストセラーになりましたが)。




たまたま本が売れたら、声をかけるどの著者からも、「この企画も10万部ぐらい売れる本に」
とか言われるようになりうんざりしました。
売れない本を作るのが怖くなり、編集の仕事に自分は向いていないと思いはじめました。

師匠のO氏は酒好きで、著者とはみな飲み友だちのような付き合いで、そういう付き合いを
著者とできるO氏がすごいと思ってました。私にはそんなふうに濃い付き合いを著者とできる
能力はないので、編集者に向いてないのだと思いました。



校正も大キライで、大きいミスして怒られてから、絶対間違いのないようにと校正していると
吐き気がしました。
お願いした著者からはなかなか原稿が来なくて、できるだけの催促をしましたが、これ以上
どうやって催促すれば書いてもらえるかわかりませんでした。
一方、しょうもない原稿をどうやったら本にできるかわからなくて何ヶ月も放ってしまい自己嫌悪
で身動きできなくなりました。




そんなこんなで、「自分には編集は向いていない」と、会社を辞めてしまいました。
それから、その時点では出版業界も先がないと思っていました。なので、ほかの業界に行こう
と思い、NPOに飛び込みました。
(それから10年以上経ってみて、不況不況と言われつつ、出版業界のほうがNPOよりずっと
儲かって、食えていると思います)




で、まあ、紆余曲折あって、3年後、元の会社にもどってきてしまいました。




いま、自分の後輩を見ていると、私の20代よりもずっときちんと著者やデザイナーにやりとり
して仕事を仕上げているし、ビジネスマンとしてしっかりしていると思います。

私はいまでこそ、20年かけて培ってきた蓄積で、ある程度の仕事をしてますが、いまの後輩
たちがさらに蓄積を積み重ねたら、私よりもずっと業績を上げて、ずっと面白い境地に到達する
だろうと思います。




若いうちは、仕事の能力というものが、どれほど年月の蓄積によって磨かれるものであるかは
わからないと思います。
少し力のある年上の人と自分の能力を比べて、すぐに「自分はあの人よりもこの仕事に向いて
ない」などと、早急に結論を出してしまいがちです。

しかし、「あの人はこの仕事に向いている」と思っているその「あの人」も、20代のときには、
やっぱり自信がなくて、自分には向いていないから辞めようとか思っていた過去があったり
するわけです。
最初からなんでもうまくいく人なんていません。誰でも誰かに育ててもらい、年月をかけて
学んできて今があります。




師匠のO氏は魅力的な人で、いまでも私は尊敬しているし、あんなふうに著者と濃い交わり
はできないと思います。
でも、いまでは私は自分の学んだ師匠よりも売れる本を作ってます。
私は私の、師匠とは違う個性で勝負できてるんだと思います。





若い人たちが10年後、20年後にどんなふうになっているかはわかりませんが、きっと私よりも
はるかにいい仕事をするようになっていると思います。
若いうちは、たかが数年で自分を見限らないことです。数年、うまくいかない時期があったと
しても、そういう時期が誰にでもあることは会社の上司たちはわかっています。


むしろ、「おまえなんかいらない」と他人に言われるまではここで頑張ってやろうじゃないかと、
他人よりも先には自分を見限らないぞと思っているのがちょうどいいと思います。

# by happymanager | 2012-05-15 22:25 | 会社で生き抜く方法

会社で生き抜く方法 1 つぶれることなかれ

20代のとき、あるいは30歳前後のときはとくに、会社と自分の考えのギャップに
悩むことがあると思います。



そのときに、知っておいてもらうといいなと思うのは、4つのことです。




ひとつは、あなたが思っているよりは、職場の人たちは、あなたのことを大事に
思っているということです。

たぶん、社長も、上司も、同僚も含めて、若い人に対しては、みな、そういう
気持ちをもつものだからです。
あなた自身だって、自分より若い人がいたときに、できるだけ助けてあげよう
とか、力になってあげようと思うでしょう?

年少の人をかばおうとか、助けたいという気持ちというのは、おそらく、人が、
誰でも、もともと持っている気持ちなんだと思います。
だから、自分は必要とされてないんじゃないか? などと心配したりしない
ことです。
あなたは大事に思われています。




ふたつめは、あなたが自分で思っているより、あなたは有能です。

まあ、よほどの勘違いヤロウでない限りは、だいたい自分のことを、
「なんて素晴らしい、カッコイイ、仕事のできるヤツなんだ!」
などと、自分のことを思えないものです。

いい仕事をしていても、そのことよりは、自分のちょっとしたミスが
気になる、というのが普通の人間というものです。
そんなわけで、たかが仕事程度のことで、自分を悪く思ったり、
責めたりしないことです。




それから、3つめは、ふたつめと矛盾するようですが、あなたが自分で
思っているより、あなたは半人前です。

肩の力を抜いていいですよ。期待されているとしても、無理にそれに
全面的に答える必要はぜんぜんないんです。
っていうか、だって、所詮、経験値が少ないんだから、半人前で上等
ってもんです。

期待なんかに応えようとすると、つぶれちゃいます。
期待は、てきとーに放っておきましょう。
あなたは一人前として期待されている、と感じて、困るかもしれません
が、実は半人前として期待されているのであって、
半人前としてちゃんと応えられれば、それで十分なのです。

半人前として期待されているのは、成果を出すことではなく、トライして、
失敗したり、できなかったり、こなせなかったり、恥をかいたり、転んだり
することです。
トライする、ということさえ、ちゃんとできていればいいんです。




そして、4つめは、自分がギリギリの状態になってしまったときに、
なによりも自分を大事にすることです。
仕事なんかよりも。





仕事にある程度、真剣に打ち込んでいると、20代、あるいは30歳前後で、
一度や二度は、ものすごく自分の限界を感じてつらくなったり、
大変な人間関係に出会ってしまったり、
仕事量の圧迫で過労死しそうになったり、
会社からの理不尽な要求に納得できなくなったり、
まあ、なんというか、仕事で泣きたいような思いにかられることが絶対に
起こります。




私も一度、28歳のときに、自殺したいような気分にかられたことがあります。
仕事量がものすごく多くなり、眠れなくなって、そんなときに仕事でミスをして、
さらに眠れなくなり、もう、線路見ると「ああ、ここに横たわったら眠れる…」
なんて思うようなことがありました。
(飛び込み自殺する人は、死のうって思ってるんじゃなくて、たぶん、
「眠りたい」と思って、それで結果的に飛び込み自殺になってるんじゃ
なかろうかと思います)




まあ、そんなときに、そのとき私を支えてくれていたパートナーに、
「もう、死んじゃいたい」
と話したことがあります。
そのときに、
「仕事ができる、できないなんかよりも、君が生きてることのほうが
僕にとっては大事だ」
と言われて、わんわん泣きました。




あなたが元気で健康で、生きてることのほうが、ほかのすべてのことより
ずっと大事です。



そんなわけで、若い人には、つぶれないで生き延びてほしいものだと
思います。
なによりも、つぶれないこと、生き延びることが大事ですよ。
# by happymanager | 2011-01-19 02:29 | 会社で生き抜く方法

売れる本の作り方 16 装丁の依頼の基本

もしも社内でお願いするデザイナーさんが決まっている場合、
新人さんでもそれほど悩まずに、「うちの会社のこの分野の
本で、前のこんな本のイメージに近い感じで…」と話をすれば、
なんとなく、それなりの装丁ができあがってくる、という感じで
仕事が進むかもしれません。



でも、新しいデザイナーさんに装丁をお願いするときは、そうも
いきません。
装丁の依頼の基本を紹介しましょう。



まず、装丁については、初めてのデザイナーさん相手であれ
ば、下記のようなスケジュールぐらいで考えておきましょう。



●カバーイラストの描き起こしが必要ない装丁の場合

依頼の電話をして、一度会って打ち合わせ、装丁関係の
テキストデータをデザイナーに渡す。
            ↓  
2週間後  ラフ締め切り
            ↓
2日後    社内決裁出る、デザイナーさんに連絡
(初めてのデザイナーさんの場合、社内で決裁が出にくい
ケースもあるので、少し余裕を見ておく)
            ↓
2日後    文字校データもらう、文字校して返事。
            ↓    
翌日     装丁データ入稿、印刷所へ


電話から会うまでに1週間ぐらい過ぎてしまうこともあるで
しょうから、だいたいデータ入稿予定の1ヶ月前には、アポ
のための電話をかけておくことが必要でしょう。

なお、初めての仕事の場合には、ラフまでに2週間ぐらいを
見ておいたほうがよいですが、1度仕事をすると相手の忙しさ
もなんとなくわかりますから、慣れてきたら、打ち合わせから
ラフ締め切りまで、だいたい1週間ぐらいでお願いしてよい
でしょう。超売れっ子デザイナーだと、打ち合わせからラフの
あがりまで、3週間~4週間ぐらいかかる場合も覚悟しておいた
ほうがよいです。
(データ入稿の2ヶ月前には依頼してほしいというデザイナーも
います)


カバーイラストの描き起こしが必要ない装丁の場合

また、イラストを描き起こしでデザインすることが決まっている
場合には、イラストレーターさんのスケジュール調整も必要
になりますので、プラス2週間ぐらいが必要になります。



デザイナーに依頼の電話をして、一度会って打ち合わせ。
装丁関係のテキストデータをデザイナーに渡す。
イラストの方向性をデザイナーと決めて、編集者あるいは
デザイナーから、イラストレーターに仕事を依頼。
初めてのイラストレーターさんに仕事を頼むならば、できるだけ
会って依頼をする。
            ↓  
1週間後  イラストラフ締め切り、デザイナーと相談しイラストラフ決定
            ↓
1週間後  イラストアップ、デザイナーさんが仕事に入る
            ↓
1週間後  デザインラフ締め切り
            ↓
2日後    社内決裁出る、デザイナーさんに返事
            ↓
2日後    文字校データもらう、文字校して返事
            ↓
翌日     データ入稿、印刷所へ



●ギャラの話はいつするの?

料金の話は、最初に電話をしたときに伝えましょう。




●ラフは何点ぐらい出してもらえるもの?


デザインラフは何点ぐらい通常出してもらえるかというと、
だいたい3~4点は出してもらえます。

なので、打ち合わせのときに「3点は出してほしい」とお願い
してみましょう。

有名デザイナーさんになると、「ラフは1点のみ。修正はナシ」
というデザイナーさんもいます。



●装丁って、どんなふうに頼むといいの?

さて、いったいデザイナーさんとの打ち合わせで何を話すと
よいのか、新人のときには悩むと思います。
以下のことを伝えましょう。



1 読者はどんな人たちか

ビジネスマン向けの本か、お母さん向けの本か、子ども向けか、
女性なら何歳ぐらいの女性向けか、など、読者がどんな人たち
なのかを伝えましょう。
できるだけ、ディテールを詳しく話したほうがいいです。
たとえば、スタイリッシュな女性誌をよく読んでいるような女性
なのか、それともほのぼの手作り志向の女性なのか…などなど。
読者像が明確になると、デザイナーさんは仕事がしやすいものです。

また、可能であれば、書店でその分野の棚に並んでいる本の装丁の
傾向などもあれば、それも伝えましょう。
たとえば、やたらと色の洪水のような棚であれば、白い装丁がぐっと
目立ったりすることもあります。




2 どんな雰囲気にしたいか

明るい雰囲気なのか、シリアスなのか、あたたかいのか、ほのぼの
なのか、「効き目がある!」という感じなのか。
暖色系なのか、寒色系なのか。
いつの季節に合わせる本なのか。
高級そうなのか、信頼性の高いものに見せるのか、親しみやすそうで
やさしそう、わかりやすそうに見せるのか。





3 使いたい雰囲気の写真やイラストがあればそれを伝える

イラストや写真選びをデザイナーにお願いする場合には、どんな
雰囲気のものを使いたいか、具体的に近いイメージの現物があれ
ばそれを見せながら話すというのも良いと思います。




4 なぜ今回、そのデザイナーさんにお願いしたいのかを伝える

そのデザイナーさんの作品を見て、そのデザイナーさんに今回の本を
お願いしたいと考えたはずです。なので、デザイナーさんにどの作品を
見てお願いしたいと思ったかを話すと、デザイナーさんはどんな傾向の
ものを依頼したいと思っているかがつかみやすいです。




5 「こんなふうなデザインにしたい」という本があれば、それを見せる

もしも、売り込みにきた若いデザイナーさんに仕事をお願いする、という
場合には、これもありです。
多少、相手のプライドを傷つける行為になることは承知したうえでやる
べきですが、「こんなふうにしたい」というイメージに非常に近い本が
あるならば、それを見せながら説明すると、イメージを伝えやすいでしょう。
ただし、ある程度、しっかりキャリアを積んでいるデザイナーさんに仕事を
依頼するときには、この方法は避けたほうがよいです。




デザインの依頼は、打ち合わせが編集者の勝負どころです。
ここで、できるだけイメージを伝えなければ、デザイナーには編集者が
求めていることがわかりません。



●打ち合わせで押さえておくべき事務的な事項

打ち合わせで押さえておくべき、事務的な事項は以下のとおりです。

1 スケジュール

2 使ってよい色数

3 判型と束の厚み(束の厚みはラフが出るくらいまでに確定してればよい)

4 使うべきロゴなどあれば渡す

5 ゲラを渡す

6 バーコードタイプが決まっているなら、それも伝える



まあ、いろいろ書いてきましたが、装丁の依頼は、いまだに私にとっても
毎回、まだ修行中といったところです。

気さくに話ができるデザイナーさんがいたら、「どんな仕事の依頼の仕方
をされると一番やりやすいか?」ということを取材してもいいと思います。
# by happymanager | 2011-01-08 22:48 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 15 ブックデザイナーさんの選び方

本をつくる以上は、ブックデザイナーさんとおつきあいすること
になります。



今回は、新しいデザイナーさんを選ぶときの基本を書いておき
ましょう。




新しいデザイナーさんを選ぶとき、まず、1冊だけで「あ、この
デザイナーさんいいわ♪」と決めてしまわないこと。

できるだけ、何冊か、その人の作品を見て判断しましょう。




デザインはいろんな関わりの中でできているものです。

もしかして、駆け出しでそれほど力のないデザイナーさん
が、力量のある編集者のアートディレクションのおかげで、
たまたま1冊だけ、いい作品が作れていた、という場合も
ありえます。

また、有名どころのブックデザイナーさんでも、「こんなに
いい作品作ってるのに、こんなへぼい作品もあるんだなあ」
という、クオリティにばらつきのある人もいます。

そういう、そのデザイナーさんの傾向というのを、ある程度
わかったうえで、そのうえでも、「このデザイナーさんが
いいな」と思える人を選びましょう。




あと、可能であれば、性格のよい、コミュニケーション能力の
あるデザイナーさんと仕事をするほうが、とくに若い人にとって
は仕事がラクになるでしょう。
それを判断するには、業界のうわさも事前に聞いたほうがいい
でしょう。

たとえば、他社で出した「このブックデザインいいなあ」と
思える本の編集者に電話をして、「この本のデザイナーさん
に仕事をお願いしたいのですが…」と連絡先を聞いてみましょう。

そして、その際に、「性格的に、お仕事しやすい方ですか?」と
質問してみましょう。
たいてい、悪いことは絶対言わないはずですが、話しぶりから、
だいたい仕事のしやすいデザイナーさんなのかどうかが判断できる
はずです。

他社の編集者の人と飲んだときに、某有名ブックデザイナーさん
のことについて「あの~、○○さんと仕事してますよね? どうでした?」
と聞いたときに、「いや~、いい仕事してくださいまして…」と答えて
くださった相手の方の目が泳いでいたので、ああ、やっぱり気難しかった
のだなあとすぐにわかりました。(笑)

言葉はきれいな言葉を選んでも、雰囲気というのは、人間、隠せない
ものです。なので、反応から様子を読み取りましょう。




若いうちに、できるだけ性格の良いデザイナーさんの人脈を増やして
おくと、後々ラクですから、性格の悪いデザイナーさんと無理して
つきあうことはありません。
できるだけ、コミュニケーションしやすいデザイナーさんを探しましょう。


そして、コミュニケーションしやすいデザイナーさんであれば、できる
だけ複数回、仕事をお願いして、距離感をつかんでいきましょう。
# by happymanager | 2011-01-08 21:29 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 14 カバーのそでも使いたおす

装丁の話で、うっかりぬけてた部分がありました。


カバーのそで部分ですが、ここに「売り文句」を入れてますか?



書店でいろんな本をぱらぱらめくると、カバーのそでに売り
文句が入っている本と、入っていない本があります。

カバーそでに、何もコピーを入れないで本を作るなんて
もったいない!




カバーにあたる部分は、いわば、その本の広告スペースだと
思ったほうがよいです。

本当の広告だったら、スペースをちょっと使うだけでお金を
とられちゃいますよね?

だから、スペースがあるのに、そこを使わないなんて、お金を
どぶに捨ててるようなもんです。




スペースがある限り、すべて、売り文句を入れられるスペース
として使いたおしましょう。



とりわけ、「この本には、いっぱい良いところがあるのに、カバー
の表1だけだと、その良さが説明しきれないよ~!」というときに、
カバーそでに売り文句を入れれば、表1よりは少し詳しく、その
本の良さを読者に伝えることができます。

また、カバーそでは表1と表4と2箇所ありますから、少し傾向の
違う情報をそれぞれ入れて、本の内容をより立体的に伝えること
もできます。




本づくりは、「中身さえ良けりゃあいい」ってもんではありません。
パッケージが中身を超えるぐらいに「売れそう~!」って感じに
作りこんで、初めて商品としてのクオリティが決まるのです。



装丁のコピーを考える時期というのは、発刊時期も間近で、
とても忙しい時期だと思います。
このときに、いろんな部分の細かいコピーを考えるなんて、
やってられない! と思うような時期でしょう。

でもまあ、タイトル、帯コピー、カバーそでコピーも含め、
吐き気がするぐらい根を詰めて考えてください♪


売れる商品にするために、1ミリでも多く努力しましょう。
# by happymanager | 2011-01-08 21:06 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 13 タイトルとカバーの作り方

単行本のタイトルや装丁ですが、あまり、中身を正直に伝える
ことに腐心するのはやめましょう。

外側は、中身とちょっとぐらい、ずれていていいのです。




中身がある程度できあがってきたところで、タイトルと装丁を
決定していくことになりますが、タイトルと装丁を考えるときに
は、一度、中身は関係なく、

「この読者層の人たちは、どういうタイトルの本だったら手に
とりたいか」

「どういう装丁だったら手にとりたいか」

という外側からの発想で考えてみましょう。

(本当はタイトルは企画段階から決まっているのがいいですが)




タイトルは、ちょっと大げさであってもかまいません。
中身とのズレが多少あるな、というときには、まえがきで調整する
ように工夫すればいいのです。

たとえば、「魔法の○○」とか、「奇跡の○○」みたいなタイトルをつけた
として、中身が実直なときには、まえがきで、

「本書は「奇跡の○○」というタイトルになっています。しかし、奇跡など
ではありません。本書の方法にそって地道な積み重ねをすれば、
実際に見違えるほどの変化が起きるはずです」

など、本の中身の信頼性をより強める方向で、タイトルの大げささ
を、地に足がついた中身につなげていくこともできます。




大事なのは、読者が「欲しい!」と思うタイトルにするということです。
中身とあまりにもズレの大きなタイトルだと問題かもしれませんが、
中身を裏切らない程度に、読者にとってキャッチーなタイトルをつけ
ることを考えましょう。
まず、手にとらせないことには、絶対に売れません。




また、装丁も同じです。
中身を実直に示した装丁がいいわけではありません。
読者層が欲しがるような装丁にしましょう。




たとえば、昔つくった本で、母親による児童虐待をテーマ
にした本があるのですが、これはお母さん向けの本だった
ため、装丁はとてもかわいいイラストで仕上げてもらいました。
挿画もかわいいイラストを入れました。
結果的に、4万部売れました。

もしも、「児童虐待だし、暗いテーマだから」と、まじめそうな、
暗い表紙にしていたら、おそらくそんなに売れなかったでしょう。
きついシーンが描かれていても、やわらかなタッチのイラストが
配置されているだけで、本の印象が変わるのです。



もちろん、文章の中身も大事なのですが、読者が本から受ける
印象というのは、かなり装丁と挿画や、本文デザインによるところ
が大きいです。

なので、装丁や挿画、本文デザインは、中身に関わらず、
「読者層が欲しがりそうな感じ」に仕上げることに、一番、重きを
置きましょう。
# by happymanager | 2011-01-04 23:39 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 12 持込企画は基本的に、そう売れない

売れる本を作るためにひとつ大事なのは、持込企画にあまり頼るな、
ということです。



自分の経験から言うと、持込企画は売れない企画が多すぎます。
また、著者が販売に力を入れて努力してくれると約束してくれても、
せいぜい、うまくいって2刷ぐらいまでの本になることが多いもの
です。

持込企画をうまく料理できるようになるのも、編集者の技量のひとつ
ではあるけれど、若いうちはとくに、持込企画ばかり企画書で上げる
ようになるのは避けたほうがいいと思っています。




毎月の企画点数のノルマをこなすために、アリバイ的に企画書を作る
こともあるでしょう。
しかし、それが持込企画ばかりになってしまう状況であるならば、自分
が編集者としての仕事のどの部分に時間を割いているかを考え直し
たほうがよいでしょう。

たとえアリバイ企画であったとしても、持込企画ではなく、自分が見つけた
テーマや、自分の見つけた著者の企画を突貫工事で仕上げた企画書のほう
がましです。
(意外にそういうものからヒットが生まれることもあります)




単行本の企画編集者は、「企画すること」そのものに、もっとも自分の
時間と意識が集中している状態になることが一番望ましい状態です。

企画の時間というのは、読者層への取材の時間、著者に会う時間、
セミナーなどに参加する時間など、人に会う時間に該当します。
あと、無駄なように見えますが、自分の経験上、ネットサーフィンも
実は有効だなと感じています。

自分の一ヶ月の動きのうち、そういう「企画を探している時間」をどれだけ
とれているかということが大事です。
自分の場合、そういう時間がとれていないときは、あまり企画者として
いい仕事ができていないなあと感じます。

もしも、「最近、イケてないなあ」と感じるときは、ちょっと無理をしても
上記のような時間を増やすと、勘が研ぎ澄まされて、いい循環になる
のではないかと思います。





人に会い、企画を立てるという時間を作れていなければ、当然、企画
に対してアグレッシブな状態になれず、持込企画を企画書に仕上げて
しまうことも多くなると思います。

でも、こうした状態が続いていると、企画編集者としてもっとも大事な、
読者ニーズに肌で触れるという時間が少なくなりますから、結果的に
その人の作る本の売れ行きが悪くなる、ということになってしまいます。




もしも、自分が持込企画を多く企画会議に上げるようになっていたら、
自分で仕事の時間の割り振りを考え直してみましょう。
# by happymanager | 2011-01-04 22:58 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 11 自分が惚れられる著者に出会う

あくまで、ビジネスのお話として…。



自分の経験上、思うのは、どんな分野であっても、
自分が惚れられる著者と出会うというのがとても大事な
ことのように思います。



というのは、もしも、自分が惚れることのできる著者に出会った
ときには、たいてい、そういう人は他の人にとっても魅力的な
人物であることが多いものです。

その魅力が、人格の場合もあれば、発想力の場合もあります
(惚れがいのある著者=人づきあいのいい人物かというと、それ
は別です)。

でも、とにかく、人にとって魅力的ということは、その人のまわりに
人が集まるということです。情報も集まります。その業界のキーパー
ソンであることも多いです。その時代を切り開くような仕事をしている
こともあるでしょう。

こうした人に惚れて、つきあうと、必然的に、その人の人脈とおつきあい
ができます。

すると、その業界の先端的な情報に触れることができたり、別の
売れる著者や企画に出会える確率が高くなります。
そして、「○○さんの本を担当させていただいています」というのが、
その業界の中での、編集者としてのあなたへの信頼につながります。




そんなわけで、自分が惚れられる著者に出会うということは、その業界
に自分がネットワークを作っていくためにも、とても重要なことだと思い
ます。




それから、著者に惚れて本をつくると、その本自体が売れる本になります。
というのは、あなたが惚れるぐらいですから、まず、企画にも魅力がある
ということです。
そして、惚れた分、あなたはその本の編集をがんばるでしょう。
その人の魅力を読者に伝える努力をするでしょう。
それが、結果的に、売れ行きにつながります。

私の場合、不思議なことに、その著者に惚れて本を作ったかどうかが、
かなり如実に売れ行きにつながってしまう場合が多いです。
売れるかどうかわからなくても、必死に、その著者の魅力を読者に伝え
ようと努力していると、なぜかわからないけれど、売れるのです。
なんとなく、編集者の神通力のようなもんでしょうか。

(あ、でも、新法の成立に伴う企画とか、法律改正に伴う企画などの場合
には、著者に惚れているかどうかは、あんまり関係ないかもしれません。

ただし、私の場合、惚れた著者の人から「この新法はすごく重要」というの
を教えてもらって、必死に取材して、別の著者を立てて本を作ったところ、
これがとても売れたので、やはり元ネタは惚れた著者からもらったものが
一番売れるなあと思っています)



そんなわけで、惚れられる著者に出会い、そういう著者の本をつくれるよう
に頑張ってほしいと思います。



それから、いくら惚れられる著者であっても、いつまでたっても原稿が
入ってこないような著者とはおつきあいが難しいです。
こういうときは、さっさとあきらめましょうね。
なかなか原稿もらえないのに、飲んだり、会ったりばっかりしていても
仕方ないです。

それから、惚れてつきあったけど、本が売れなかった場合も、ずるずる
おつきあいしていてもしょうがないです。
1冊出して、売れない著者だった場合、会社に企画さえ通れば、2冊目
まではチャレンジも可能ですが、2冊目がダメならきっぱりあきらめて
次の著者を探しましょう。

あなたが惚れることのできる著者は無限にいます。
新しい著者を探しに行きましょう。
# by happymanager | 2010-12-28 00:25 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 10 見出しのつけ方

あ~、なんか、書いているうちに、ちゃんと意味あるのかなあ
このブログ…と、自信がなくなってきたよ…。(笑)
あうあう~。onz

しかし! サクサクいきまっしょい!



ここのところ、見出しのつけ方について聞かれることが重なり、
うまく説明できているかわからないのですが、とりあえず
考えをまとめてみました。



私も悩みながら、他の本を必死に参考にしながら見出しを
つけているひとりなので、えらそうなこといえるわけじゃない
んですけどね…。(^^;)




見出しは、読者にとって魅力的でなくてはなりません。
とりわけ、章タイトルや大見出しは、読者が思わず手にとりたく
なるような、読者のニーズそのものに対し、ここにその答えが
ある、ということがわかるようなものになっていてほしいもので
す。

ノウハウ本の場合はとりわけ、そうです。



「どういうのが魅力的か?」
というのは、自分がどんな本の目次を魅力的でわかりやすい
と感じ、買いたいと思うか、を考えてみましょう~。

自分の場合、なんか自分の本の見出しがイマイチいけてない
な~、というときは、必死になって、類書の売れている本を
いろいろ見てみます。
また、ビジネス書なんかもけっこう見ます。

すると、けっこう「お! この見出しのつけ方はうまいな~!」
という本があります。
そして、すぐさま、手法をパクリます。(爆)
ゲラでしこしこ直します。



いい見出し、いい目次をつけるためには、とにかく類書をいろいろ
見てみることです。
自分にとって魅力的な目次、見出しのつけ方をしている本を見つけ、
その手法をまねることです。
そのうち、自分の感覚もできてきます。



それで、自分がどんな目次を、読者の購買意欲をそそるもの
として感じるか、いくつか該当する本を見つけました。

以下は、いずれも、アマゾンで中身! 検索で目次が見れる
ものです。


●第1章のタイトルがキャッチー。
 カンタンですぐ効果が出る!というところをくすぐるタイプ
『3分間コーチ』 ディスカバー刊
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%A7%E3%82%82%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%AE%E3%81%84%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB%E3%81%AA%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E8%A1%93-3%E5%88%86%E9%96%93%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81-%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E5%AE%88/dp/4887596251/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1293197059&sr=8-1#_



●脅し系で、常識否定形の見出しで興味を惹くタイプ
『課長の仕事術』 アスカ刊
http://www.amazon.co.jp/%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E5%AE%9A%E6%99%82%E3%81%A7%E5%B8%B0%E3%82%89%E3%81%9B%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%82%82%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B-%E8%AA%B2%E9%95%B7%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93-%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E9%88%B4%E6%9C%A8-%E5%BA%B7%E5%A4%AE/dp/4756913806/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1293197587&sr=1-1#_


●少し上から課題を示す系
『そうか、君は課長になったのか。』WAVE出版刊
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%81%86%E3%81%8B%E3%80%81%E5%90%9B%E3%81%AF%E8%AA%B2%E9%95%B7%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%80%82-%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8-%E5%B8%B8%E5%A4%AB/dp/4872904494/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1293197977&sr=1-1#reader_4872904494


●章タイトルはオーソドックスだけど、何をすべきかのポイントが
 小見出しでわかりやすく示されている
『人生と仕事の段取り術』PHPビジネス新書
http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%A8%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AE%E6%AE%B5%E5%8F%96%E3%82%8A%E8%A1%93-PHP%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%B0%8F%E5%AE%A4-%E6%B7%91%E6%81%B5/dp/4569771181/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1293202009&sr=1-1



それぞれの見出しの魅力は、タイプがやや違います。
でも、共通しているのは、短い一言の中にでも、読者が
「それができたらいいな!」と思わせたり、
「え? 私の考えは間違っていたのかな!」とびっくりさせたり、
読者の心に響くものであるということです。

また、見出しひとつで、何を言いたいのかが、一目でわかります。



一方で、売れてる本っぽいけれど、ダメな目次だなあと思う本も
あります。

『あたらしい戦略の教科書』ディスカバー刊
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%84%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E9%85%92%E4%BA%95-%E7%A9%A3/dp/4887596448/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1293202061&sr=1-1

この本は、『はじめての課長の教科書』ディスカバー刊
の続編なのですが、こっちの本のほうが、まだ目次に
魅力があるように思います。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE%E8%AA%B2%E9%95%B7%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E9%85%92%E4%BA%95%E7%A9%A3/dp/4887596146/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1293202104&sr=1-1



それで、これの売れ行きを、とある書店さんのPOSデータで
見てみたところ、こんな結果でした。(どこの書店さんのデータ
か、わかる人にはわかると思いますが)

『はじめての課長の教科書』 1年間で6026冊
『あたらしい戦略の教科書』  1年間で1594冊


もちろん、1年間で1594冊というのもすごい数字なのですが、
でも、同じ著者の本だったら、もうちょっと近似値を叩き出せた
と思います。
でも、2冊の本を比べると、明らかに2冊目のほうが、文章や
内容からして、読者のことを置いてきぼりにしている感が強く、
結果として、4分の1程度の売上になってしまってるんだなあ
と思いました。


『あたらしい戦略の教科書』の目次を見ると、どの言葉も、
読者の「こうなりたい!」、あるいは「このままだとヤバイ?!」
という気持ちを引き出すものになっていません。
こういう目次は、やはりダメだと思います。



目次は、どうしたって、中身の反映になります。
かなり工夫したとしても、中身との整合性は必要ですから、
目次には、著者や編集者がどれだけその本を、読者の気持ちを
惹こうと頑張ってつくったのかという「意志」が、そのまま表れて
しまうのだと思います。



とりあえず、ゴロンとした名詞だけの見出しはやめましょう。
『あたらしい戦略の教科書』には、

「情報収集の現実」
「情報収集の基本」

などのように、名詞をそのままゴロンと置きっぱなしにして
いるような印象の見出しがあります。

でも、目次の言葉は、「内容がわかり」「魅力的で、はっとする
ような、キャッチーな印象がある」ものにしていきましょう。


内容を読んでみると、自分ならば、


「情報収集の現実」 → 「人から聞いた情報だけが武器となる」
「情報収集の基本」 → 「意味ある情報を手に入れるための7つの基本」


などのように、少しでも変えるのになあ、と思ったりしました。



読者は怖いです。
読者は敏感です。
読者はメンドウくさがりやさんです。



「カンタンですぐわかる!」
「すぐに魅力的に変われる!」
「こんなに面白い!」
「あなたのニーズにすぐに応える!」
「このまま時代に取り残されないために!」


という印象がストレートに読者の心に響くような目次、見出しを
つけましょう。
読まないと中身がわからない、そういう見出しではなく、あたかも
見出しを読んだだけで、なんとなくその本を全部わかったように
思えるぐらい、「この本で著者は何が言いたいか」が、目次から
わかるようなものにしましょう。


本はけっこう、見出し次第で、読者の手にとる、とらないが分かれ
るものです。
ここには力を注ぎましょう。
# by happymanager | 2010-12-25 00:29 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方9 単行本用の著者インタビューのコツ

さて、ライターさんに著者を取材してもらうことになったとしましょう。



このときの、ベストな取材のコツは、できれば、著者と編集者が
本のテーマを話し込むところから、ライターさんに同席してもらう
ことです。



このときに編集者がとくに著者と合意を形成すべきことは、読者対象
が誰か、どんな悩みを抱える、どんなレベルの読者に向けた本に
したいのかということです。
そのうえで、どんなテーマのどんな本にするかの前提を共有します。



たとえば、保育者向けの本の場合には、
「若い保育者で5年目ぐらいまでの人」で、
「保護者からのクレームに悩まされていて」
「ふだんはあまり本は読まないけれど、保護者のクレームがテーマの
本なら一冊買っておこうかという人」
など、読者イメージの合意形成をします。

そして、そのうえで、
「じゃあ、本のテーマは、クレームを生まないような保護者との上手な
つきあい方にしよう」
「本のつくりはすべての項目が見開き2ページずつにまとまっていて
読みやすいものにしよう」
と、その読者に売れそうな設定を考えていきます。




誰を読者対象にすると売れるのか、というのは、著者から考えを
引き出すのが最も良いですが、編集者の中でいま最も購読意欲
の高い読者像がはっきりしている場合には、編集者からの提案
であってもよいと思います。

重要なのは、読者像のディテールが、ライターさんにわかるように
してあげることです。ここがはっきりしていると、ライターさんは
仕事がしやすくなります。

しかし、著者、ライターさん、編集者の3人がインタビュー前に
じっくりとした時間を持つというのは、方法としてはベストでも、
時間がなかったりすれば省くしかありません。

時間がなくて、著者とライターさんと編集者の三名で打ち合わせ
できないときは、編集者がライターさんにきっちり上記のことを
伝える打ち合わせをしておきましょう。




そして、具体的な取材の前に、著者と編集者がやりとりをして、
プロット(目次)づくりをしておきます。
プロットづくりは、まず編集者が章タイトル(章テーマ)ぐらいは
決めて、著者には章の中身となる細かい項目を挙げてもらいます。

最初から、著者がはっきりしたコンセプトを持っている場合には、
章立てから何から、お任せでいい場合もあります。

しかし、場合によって、著者がプロットづくりのところで暗礁に乗り
上げることもあります。
こういうときは、著者と編集者とライターと3人の打ち合わせをして
プロットを作り上げてしまうというのもよい方法です。



さて、プロットができて、実際のインタビューとなります。
このときに大事なのは、必ず企画者が取材に同席することです。
当たり前だと思いますが、以前、若い編集者に「やっぱり、編集者
も同席したほうがいいですか?」と聞かれてびっくりしたことがある
ので、一応、念のため書いておきます。

たとえば、雑誌などでは、ライターさんに取材を任せて、編集者が
同席しないのはよくあることだと思います。
でも、単行本は違います。単行本は著者と編集者の共同作業に
なっていないとうまくいきません。

とくに語り下ろしの場合、「売れる本にするには、どんな流れで、
どんなエピソードを引き出しておかないといけないか。そして、
著者のノウハウを話してもらうときに、どのぐらい丁寧にわかり
やすく説明してもらうか」を客観的に、その場で判断できるのは
編集者しかいません。

ライターさんは、どちらかというと、仕事の性質上、著者に気に
入ってもらえるように仕事をするのが普通です。

ライターさんに読者像の前提を共有してもらうのは大事なこと
なのですが、しかし、実際の仕事に入ったときには、著者に
嫌がられる危険を犯してまでも、読者に売りたいからと言って、
聞きにくいことを聞いたり、著者本人にとってはやや退屈と
思われる、微に入り細に入るようなノウハウの説明を改めて
著者にさせたりということはライターさんはやりません。



なので、「読者目線で考えると、ここはもっと突っ込んで聞いて
おこう」「著者は嫌がるかもしれないけど、ノウハウをここで一
から細かく説明してもらおう」など、臨機応変に編集者が質問を
していくようにしましょう。
また、ライターさんが理解しやすいように、編集者が知識的な
補足の説明を適宜入れたり、著者の話を誘導していくように
しましょう。

それから、著者が面白いエピソードを話したのに、ライターさんは
原稿にそれを入れなかったりすることもあります。
こういうときに、「あのエピソードが面白かったので、ぜひ入れて
ください」などの指示をするためにも、編集者がインタビューの
すべてを把握していることは必要です。



そして、インタビューの合間に、適度に休憩を入れましょう。
場を和ませる美味しいお菓子を用意しておいたり、一息つける
ような工夫をしましょう。
私の場合、手作りのお弁当をお持ちしたこともあります。
こういうのは、本づくりの思い出として著者の方も覚えていて
くださったりします。場もかなり和みますし、楽しいものです。

飲ませると話が面白くなる、という著者の場合には、飲みながら
という設定もありだと思います。
私もやったことはないですが、知り合いのライターさんは、
ワインと手作りのバゲットサンドとチーズをお持ちして、それを
お供に著者のインタビューをされて、とてもいい話をしてもらう
ことができたと言ってました。


著者のいい話を引き出す場面設定の工夫は、できるなら、
するに越したことはないと思います。
# by happymanager | 2010-12-24 22:11 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 8 著者に書いてもらう以外にも本づくりの方法はある

面白いことをやっている人に、原稿をお願いしたら、
文章が面白くない。
こういうことは、よくあることです。

そういうときは、無理にその原稿を使ったり、本人に
無理に書いていただくのはやめて、
ゴーストライターをお願いしましょう。



初めて単行本を書くという著者の場合、原稿をいったん
書いてもらって、もしも使えない原稿であれば、
ライターさんに入ってもらって、著者の原稿は資料として
使い、著者の語り下ろしのインタビューもしたうえで、
ライターさんにその双方を材料として使ってもらって、
原稿をまとめてもらうという方法があります。

なので、そういうことが予想されるときには、あらかじめ、
そういう進め方に切り替えることがあり得るという話も
著者にしておきましょう。



でも、もしも、事前に話をしていなくても、原稿が悪いときには、

「御原稿を拝読して面白かったのですが、先生のお話しを
うかがったときに、自分から見たときにもっといろいろ面白い
エピソードやノウハウがあるんです。

でも、先生自身にとっては、もう無意識にされていること
なので、御原稿の中にそれが言語化されていない、出てきて
いない印象があるんですね。

なので、こちらが面白いと思ったエピソードを、より深く話して
いただくインタビューをさせていただいて、ライターの方に、
そのインタビュー内容とこの御原稿をミックスしてもらったもの
を、原稿の叩き台としてまとめてもらい、それを先生にチェック
していただくかたちで本をつくるのはどうですか?」

と打診してみましょう。

著者がOKであれば、ライターさんに入ってもらいましょう。



仕事をライターさんにお願いするにあたっては、印税は著者
とライターさんで分け合っていただくかたちになります。
たとえば、10%の印税なら、著者4%でライターさん6%とか、
著者もライターさんも各5%ずつとか、そのぐらいの条件で
相談してみるとライターさんも承諾してくださると思います。



すごく面白いことをやっているのに、原稿が面白くないという
ケースはとても多いです。
というのは、原稿を書きなれていない人が「単行本を書く」となると、
やたらと肩に力が入ってしまい、「素直に日ごろ話しているように
書いてくれればいいのに、なぜこんなかたい文章に?」というケース
が往々にしてあるからです。

こういう場合、まずは「日ごろ話しているかのように、そのまま文章を
書いてください」とお願いしてみましょう。
そして、書き直ししてもらってもできない場合には、上記のような方法で
ライターさんに入ってもらいましょう。



編集者は、著者に原稿を書いてもらうのも仕事ですが、一番
大事なのは、「その著者の魅力を読者に伝えるにはどうしたら
一番いいのか」ということを常に考え続けることです。

原稿をもらってしまったからといって、「玉稿」として絶対に
使わなければならない、ということはありません。
(まあ、著者さんとの力関係によりますが)

どんな方法を使ってもよいので、著者の魅力が伝わる本を作るのが、
編集者の仕事です。





それから、できればですが、自分の考え方と似ていて、仕事を一緒
にしやすくて、仕事の質が良いライターさんを見つけることは、あなた
の仕事をとても助けてくれます。
そういうライターさんを見つけたら、仲良くなって、仕事をコンスタント
に年に1~2本はお願いするようにして、いい関係をつくり続けましょう。

著者の方というのは、忙しい人が多いものです。
単行本の締め切りなんて、締め切りと思ってもらえないことも多い
です。
でも、ライターさんは、締め切りまでに書くのが仕事ということが
骨の髄までしみこんでいる人たちです。

だから、著者インタビューをライターさんにまとめてもらって本にする、
という仕事の仕方が年にたとえば、2本でも3本でもできるようになる
と、ライターさんは絶対締め切りを守ってくれますから、計画しておい
た発刊点数が不確定なものではなくなり、年間の発刊点数もある程度、
計画性をもったものにできるのです。

単行本編集者のつらいところは、週刊誌や月刊誌のように「絶対的
な締め切り」がないということです。
そのために、著者の気分のままに、ずるずる原稿を取れないまま
時間が過ぎてしまうことが発生します。
これがあまりに多くて、年間発刊点数がなかなか伸びないと、非常
に編集者にとってはつらいものです。

ライターさんと組んで仕事をする本が、年間にかならず数点入れられる
ようになると、だいぶそのあたりがラクになるはずです。


次に、ライターさんに入ってもらって著者インタビューをするときのコツ
を紹介しましょう。
# by happymanager | 2010-12-21 22:18 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 7 読者に聞くって、何人ぐらいに聞けばいいの?

あるとき、企画会議で、企画者に対して、「読者ニーズを調査してほしい」
という話が出たときに、企画者のほうから、「何人ぐらいから調査してきたら、
読者ニーズがあると認めてもらえるんですか?」という質問が出たことが
あります。
実は、今日の企画会議でも同様の質問が出ました。



何人だとOKだと思いますか?
自分が見ている範囲や、自分の経験上からいえば、読者層に該当する人と
4~5人程度、ちゃんと話を聞いてきたという話が出てOKになった企画も
あれば、それでもダメだった企画もありました。



「読者ニーズの調査をして来い」と言われると、「ああ、要するに売れないと
思ってるのね」と企画者側としては感じます。
「じゃあ、調査してきたって、そっちの思い込みがその状態ならば、またどうせ
否定されるんじゃないの?」と思うかもしれません。




でも…、企画者が「読者の何人かに意見を聴いてきて、こういう話が出まして…」
と語る話って、意外と説得力があるものなんです。
そして、そんなにたくさん人数を集めてこなくても、説得力はわりあいにある
ものなんです。
なぜかというと、「読者層からのリアルな話」というのが語られると、
「ちゃんと足で稼いでいるな」
「ちゃんと読者をつかんでいて、読者ニーズをリアルに感じているんだな」
というオーラを、企画を判定する側が感じて安心するからです。
だから、「読者対象に該当する人たち○人に聞いたら、こんな声が…」という
のは、ぜひ企画者側が武器として使えばいいと思います。




そして、可能であれば、
「まあ売れるんじゃないかと言われました」
というさっぱりした報告ではなく、
「こんなことに困ったことがあったから、ぜひそういう本があったらいいのに、
と言われました」
「こういう場面ですごく困るから、こういうマニュアル本がほしいと言ってました」
など、読者が何に困っているか、というあたりのリアルなエピソードを生き生きと
語りましょう。
これは、ものすごく説得力があります。



企画の判定者は、あなたのオーラみたいなものを感じながら、それ
を判定の材料にしているところがけっこうあります。
あなたが確信に満ちて、自信が持てて説明ができていれば、判定
する側も企画に対しての確信を持ちます。
反対に、企画者自身が確信が持てていなければ、判定する側も
企画を信用できなくなるのです。




「読者に聞いたリアルなニーズ」の話を、生き生きと話すあなたは、
確信に満ちたオーラを出している人として目に映ります。
それは企画者にとってのものすごい武器になります。
武器を入手しましょう。
そして、武器として使いましょう。



ポイントは、
「読者が何に困っているかについての、とてもリアルな現場の話」の
エピソードを拾ってくることです。
単純な、「こういう本出たらほしいか、ほしくないか?」のイエス・ノー
の取材に終わらせたらもったいないです。

読者層にあたる人で「そういう本ほしがられると思うよ」と言ってくれる人に、
「いま、こういうことってみんな悩んでいるんですか?」
「まわりの人で、具体的にこのことで困っている人っていますか?」
「具体的には、日常の中で、どのぐらいそういう困ることって起きがち
なんでしょう?」
「まわりの人もほしがりそうですか?」
「一番ほしがりそうな世代って、どのぐらいの年齢層ですか?」
などなど、読者がいつ、どんなときに、どのぐらい困るのか、という
具体的なエピソードをあなたが描けるようになるまで、突っ込んで
話を聞いてみてください。

それは、企画会議で語るためだけでなく、本づくりそのものに役立つ
取材になると思います。
# by happymanager | 2010-12-21 00:48 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 6 文字の小さな本は売れません

本の編集者は、コンテンツの中身だけ作ればいいというわけではない
ものです。
かたちある商品をつくるという意味で、「どうすれば使いやすいと思って
もらえるか?」という、人間工学的な要素を、いつも意識しながら編集
作業をしましょう。



本の場合の使いやすさとは、「読みやすさ」ということになります。
どんなによいコンテンツでも、文字が小さいと読みにくくて売れません。
文字は、同時代の一般の人たちが、「読みやすい」と思う大きさに
するように、本をつくりましょう。

そして、同時代の一般的な普通の人が、どのぐらいの文字の大きさ、
文字の量を読みやすいかを、いつも把握する努力をしましょう。



もしも、あなたがものすごく専門性の高い本の編集ばかりして
いるとしても、自己啓発系のビジネス書をたくさん見ましょう。
「読む」のではなく、「見る」ことをたくさんしましょう。



どうしてそんなことが必要なのか?
自己啓発系の、わっかりやすいビジネス書というのは、一番、
一般的で、普遍的な人々をターゲットにしています。
なので、本の文字組みやレイアウトなどのつくりを、
どうすると、いま一番、わかりやすく読者に伝わりそうか、
ということのお手本になるからです。
(それだけでなく、タイトル、見出し、本の中身の構成まで、
とてもよいお手本になると思います)



自己啓発系のビジネス書を、いくつか手にとってみると、
どのぐらいの文字の大きさで、どのぐらいの字数を1ページ
におさめているか、だいたいの感覚がわかると思います。



これが、いま、一般的にふつうの大人の人が、読みやすいと
思う文字組みです。




昔のことはわからないのですが、おそらく70年代ぐらいは、
四六判の本で、1ページあたり17~18行×42~45字ぐらい
で、13級の明朝で組んだ本が、おそらく、中身さえよければ
ちゃんと売れていたのではないでしょうか。
自己啓発系のビジネス書も、そのぐらいの文字の大きさで
作られていたのではないかと想います。




でも、いまは2010年です。
この間に、人が一般的に読みやすいと思う1ページあたりの
文字組みの量は変わってしまっています。




もしもいま、四六判で17行×42字の本を作ると、どんなに
中身が良くても、売れにくい本になります。

これは、どんなタイプの本でもそうです。
たとえば、専門書だって、少しでも大きな文字のほうがよいです。
写真などを使ったおしゃれな本づくりをする場合でも、文字が
小さい本だと売れにくくなります。




いま、読者が読める限界の文字量は、マックスで、
四六判の1ページなら、15行×40字以内です。
文字の大きさは、13.5級以上でないと、まず、
いやがられます。
これがいまの時代の限界なんです。

これ以上、文字の多い本は、読者が手にとったとたんに
「うわ、めんどうくさい!」と思って、中身以前に買って
もらえないと思ったほうがよいです。



子育て本や、恋愛エッセイ系などの場合には、もう少しさらに
文字数を落として、四六判で1ページあたり15行×38字以内
ぐらいにして、文字の大きさは14級以上で作るのが、いまの
マックスの限界だと思います。
1ページ14行ぐらいの組み方も妥当です。
ものによっては、13行で15級の文字の大きさで組んでいる本も
あるぐらいです。



「いや、でも自分の作っている本は専門書で、自分のやっている
分野の本は関係ない」
「自分のつくっている本は、おしゃれなデザインをモットーにして
いるものだから文字の大きさは関係ない」
と思うかもしれませんね…。



でも、考えてみてください。
たとえ、どんな専門書であっても、デザイン書であっても、読み手は、
普通の同時代の感覚を持つ人たちなのです。

だから、「自分のやっている分野は専門書で、他社だって13級の
文字組で、詰め詰めで、同じような本のつくりだから、この分野の
読者はこのぐらいのものを求めているのだ」と思うのは間違いです。

どんな本をつくっていても、そのことは理解しておきましょう。
小さい字、分厚いページ数、見にくいレイアウト、それは、普通の人に
とってはイヤな苦行でしかないものなのです。

もしも、同じ内容でも、見やすい組み方、レイアウト、薄手のつくりで、
わかりやすくなっていたら、読者はきっと手に取りたくなると思います。




だから、他社の本が、その部分で努力をしていないとしたら、「他社が
こうだから、自分もこんなつくりの本でいいんだ」ではなくて、「他社が
やっていない分、自分はもっと読者にとって読みやすい本をつくろう」
と努力してほしいと思います。
(もちろん、他社がすごく読みやすくて、よいレイアウトの本をつくって
いたら、それはどんどん参考にしていきましょう)

あなたが読みやすさの部分を読者に少し歩み寄っただけで、だいぶ
本のつくりが変わり、売れ行きも変わるかもしれません。

読者は本なんて読みたくないんです。
ノウハウ系の本なんて、どんな本も、読者が何かに困って、解決しな
ければならなくて、だからやむにやまれず買って読むのです。
本当は本なんて読むのは、メンドウくさくてしかたない、そういう人に
向けて、少しでも親切な本づくりを心がけましょう。

それだけで、他社の本よりも、あなたの本は売れるようになります。



あ、それから、具体的なことで…。
もちろん、文字の大きさを決定するには、1ページあたり、どのぐらい
の文字量を入れるのかをあらかじめ決めておき、ページ数を決めて、
最初の造本設計をきっちり考えておくことと、それに伴い、著者に
正確な原稿分量を指示することが必要になります。


原稿分量は、そのままページ数に反映されますから、コスト意識を強く
持つという点からも、この作業はとても大事です。

また、ページ数は、定価につながり、定価は読者層のレベルを決定しま
す。
つまり、この段階で、かなり、「読者は誰か」「どのぐらいのレベルの人
たちに向けるのか」「そのレベルの人たちにわかるようにするには、
各項目をどのぐらいの簡潔さで書いてもらうか」という、編集者自身の
意思が明確になっている必要があります。


そして、著者が「いや~、分量が多くなっちゃった」とたくさん書いてきた
場合でも、できるだけ、本の設計意図に沿うように、原稿分量を削って
いただくようにお願いをしましょう~。
# by happymanager | 2010-12-18 18:37 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 5 売れる本の基本構造はダイエット広告と同じ

●ノウハウ系の本は、ダイエット広告のような構造でつくろう!

文芸ものや、国家資格レベルの専門家向けのかなり難度の高い専門書の
編集をしている場合は、以下の話はあまり関係ないかもしれません。



あなたが、何かの分野のノウハウ本の企画編集をしている場合には、
本づくりの構造を、「ダイエット広告」「美容グッズの広告」のように作ると、
売れる本ができます。



「ダイエット広告」「美容グッズ広告」の構造って、こんな感じです。
(「○○の病気が治る!」という広告も同じ構造です)


1 目立つキャッチで興味をひく。カンタンで、うまくいく、というのがポイント。
  (本の場合には、ここが帯やまえがきにあたります)

2 その商品でうまくいった! という実例を紹介
  (本の場合には、このノウハウでうまくいった! という実例紹介にあたります)

3 こういう理由でこれが効く、という、やや説得力のあるように思われる
  理由が書かれている 
  (本の場合には、その本がテーマにしているノウハウそのものにあたります)





広告をよく見ていくと、3がかなりいい加減な内容になっている広告は多いです。
でも、商品はけっこう売れてるんじゃないかと思います。

というのは、商品の購買者は、1と2の部分だけを見て、もうその商品を信じる
からです。

反対に言うと、1と2の要素が押さえられていないと、その商品は売れなくなり
ます。




実は、本も同じです。




読者は「うまくいきたい!」「成功したい!」と思っているからノウハウ本を
買います。

でも、本当にそのノウハウをじっくり読んで、きっちり実行できる人なんて
少ないです。
だから、実際には、読者はノウハウをほしがってるけれど、ノウハウなんて
面倒くさいと思っている人たちが大多数だということです。

じゃあ、読者はなんで本を買うんでしょう?
それは、
「この本を買うと、こうなれますよ!」
「この本の方法で、こんなにうまくいった人がいますよ!」
という部分に惹かれて、本を買うのです。

だから、
どんなにいいノウハウが書かれている本であっても、
「この本を買うと、こうなれますよ!」
「この本の方法で、こんなにうまくいった人がいますよ!」
というところの説得力や魅力の弱い本は、売れる本にはなりにくいのです。




なので、ノウハウ系の本の中には「カンタンでうまくいく!」というアピールと、
「うまくいった魅力的な実例」の要素をかならず入れましょう。





●売れる本の帯とまえがきの作り方

「ダイエット広告」では、最初に目立つキャッチコピーがついていると
書きました。
この部分は、本で言うと、帯とまえがきにあたります。



読者は、帯とまえがきで興味を惹かれて本を買います。
時間があれば、第1章まで読んでくれるかもしれません。

でも、それ以上の分量をじっくり全部読んでから買う人は、なかなか
いません。
だから、帯とまえがきと第1章が勝負なのです。

反対にいえば、ここさえ、売れるようにきちんと作ってあれば、第2章
以降がグダグダな内容でも、わりあい本は売れてしまいます。
だからこそ、帯とまえがきと第1章には、力を注ぐべきです。

(ただし、2章以降がグダグダな内容の本は、なんとなく、最初の
売れ行きのよさが続いてはいかないものです。半年から1年も
経つと売れ行きが悪くなります。
やはり、2章以降もきちんとつくってある本は、売れ行きのよさが
2年や3年はずっと続いていくという印象を、個人的には感じます)




さて、帯とまえがきですが、じゃあ、どんなふうにすれば売れる帯と
まえがきになるでしょうか。
これも、ダイエット広告と構造は同じです。
以下の3パターンのいずれかにあてはまるように作りましょう。


A 「カンタンに成功する!」とアピールするパターン

  「○○を飲むとみるみるやせる!」
  「○○するだけで、2週間で10キロやせた!」
  と、カンタンで成果が出る商品であることをアピール。



B 「あなたはこのままだと危ないよ!」と危機感をあおるパターン

  「放っておいたらこんなシワやシミが!」
  「知らないうちにこんなドロドロの血液と血管に! あなたは大丈夫!?」
  と危機感をあおり、そのうえで「あなたも○○さえ飲めば、安心!」と
  カンタンで成果が出る商品であることを最終的にアピール。



C 「あなたの気持ちわかりますよ」「私も同じ」と共感をアピールするパターン
   
   「運動なんてめんどうくさ~い!」
   「腹筋したほうがいいってわかってるけどできない、というあなたへ」
   と、「あなた」の気持ちに共感するようなコピーから入り、
   「そんな人でも、これを飲むだけでするするやせる!」
   「これをつけてるだけで腹筋が鍛えられる!」
   と、カンタンで成果が出る商品であることを最終的にアピール。


ダイエットや美容グッズの一番、目につく部分に書かれるコピーは
だいたいこの3パターンのどれかになります。
ものによっては、この3パターンを組み合わせて、作られてます。


  
ノウハウ系の本の帯とまえがきも、このパターンにあてはめて
作りましょう。



帯であれば、たとえば、ビジネス書の場合だと、

A 「これ1冊で、決算書がみるみるわかる!」

B 「決算書の読めない営業マンは生き残れない!」

C 「決算書なんてメンドウだ! というあなたへ」


というようなパターンになります。



まえがきの場合にも、ABCのいずれかのパターンで作れば、読者
にわかりやすくアピールすることができます。
まえがきは、帯コピーよりは長さがあるので、場合によっては、
B→C→Aと、ひとつのまえがきの中で3要素をうまく組み合わせる
こともできると思います。


そして、
「この本では、そんなあなたのために、こういう方法をわかりやすく
紹介しました。これさえ読めば、あなたもこんなふうに成功できます」
と、この本を読むことでうまくいくことを、まえがきできっちりアピール
しましょう。


まえがきに説得力があると、読者は、「なんだかこの本買っておくと
いいかもしれない」と、心が動かされます。



まえがきをそのようにするには、かなり編集者の手を入れることが
必要になると思います。
著者にだけまえがきをまかせると、著者の想いばかりが詰まって
いるまえがきになったりしてしまいがちです。



なので、「まえがきは、読者への売り文句のようなものなので、
編集側でかなり手を入れることになります」と事前に著者に
話しておいて、それで手を入れるほうがよいかと思います。
著者の想いは、あとがきに書いてもらうようにしましょう。





●第1章には実例を入れる


次に、第1章の作り方です。



ノウハウ本も、ダイエット広告と同じで、魅力的な成功の実例を
読者に最初のほうで伝えることがとても大事です。

なので、第1章には、かならず、うまくいっている実例を入れましょう。

ノウハウ本の場合、
① 第1章で実例をいろいろ紹介してから、次の章でノウハウの解説に入っていくパターン
②  一番最初から、どんどんノウハウを伝えていくパターン
の2つが考えられますが、

もしも、②の場合には、その一つ一つのノウハウを伝えるところで、
「この方法を使ったらこんなにうまくいった」という実例のエピソード
を織り交ぜていきましょう。



もしも、ひとつもそうした実例エピソードなしに、ノウハウだけどんどん
書かれていても、読者は興味を持てません。
  


読者は、実はノウハウなどは二の次で、「私もこんなふうに成功でき
るかも!」と、夢を見られる情報の部分こそが読みたいのです。
そこが魅力的な本ほど、読者は買います。



中身として、ノウハウのよさももちろん大事ですが、
その著者のノウハウがよいもので、読者に伝えたいのならばなおのこと、
帯、まえがき、第1章で、読者に「これでうまくいくかも!」と思わせるような
作りをすることこそに、力を注ぎましょう。
# by happymanager | 2010-12-18 01:25 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 4  企画会議での話の仕方

このテーマは直接、売れる本の作り方に関わるわけではないですが、
企画編集者にとっては避けて通れないことだと思うので、一応、触れ
ておきましょう。



若いときは、とかく、企画会議は緊張しちゃうものです。
とくに、そんなに慣れていないときは、ドキドキするもんでしょう。



で、新人の人のために伝えたいのは、「企画会議で企画を通さなきゃ」
と思わないことが大事だということです。



会社は、新人のあなたに、すごい企画を持ってくることを期待してません。
あなたが企画をガンガン通すことも期待していません。



会社が見たいと思っているのは、あなたがごく普通に、聞かれたことに
素直に答えることができるかどうかです。



あなたが、会話のキャッチボールを普通にできる人かどうかを、会社は
見たいと思っています。



だから、「企画を通そう!」なんて、気負わないことです。
ダメでもともと。
聞かれたことに素直に答えましょう。

わからないことは「わからない」と言いましょう。
著者と詰めきれてないところは、「そこは詰めてません」と言いましょう。
鋭い指摘を受けて、ああ、そこは考えてなかったなあと思ったら、
「そこは考えてませんでした」と言いましょう。
そして、考えてあったことについては、素直に「自分はこう思ってました」
「こう考えていました」と言いましょう。



そして、意見を言ってくれた人の話を、一生懸命、熱心に聞いて、
重要なところはメモを取りましょう。
自分が説明するときには熱心に説明をしましょう。
でも、ここで言う「熱心」というのは、ゴリ押しすることとは違います。
誠意をもって、自分の考えを、相手に伝わるように話をする、という
ことです。



相手の様子を見ながら話をしましょう。
相手の聞きたがっていることを話しましょう。



それができれば、新人の企画会議はOKです。
もう100点と言っていいぐらいです。



さて、あなたが新人の時期も終わり、もう少し企画会議に慣れてきた
としましょう。
数回出れば雰囲気がわかってきますから、余裕が少し出てくるで
しょう。
そうしたら企画会議の場を、「取材の場」と考えて臨みましょう。



あなたの企画書を見て、企画を判定する側の人が、きっといろいろ
質問してくるでしょう。それから、いろんな感想を言ってくるでしょう。
それは、第三者があなたの企画書を見てどう思うかという、非常に
貴重な意見なのです。
そして、あなたが自分で思っているよりは、その人たちの意見のほう
が、世間的には一般的な見方であるものです。



「タイトルがかたすぎる」
「テーマが絞られてないんじゃない?」
「読者層が明確に見えない」
「これだけの部数売れるのかな」



聞いていると頭に来るようなことばかり言ってくるなあ、と思うでしょう
が、世間一般の人が、あなたの企画書を読み、あなたの意見を聞いた
ときには、一般的にはそう思われるであろう、という代表的な意見を
その人たちは述べてくれているのです。
つまり、世間一般の読者の人の反応が、ここでわかるわけです。



もしも、あなたの企画書と、あなたの説明に説得力があれば、上記の
ような意見は、だんだんトーンダウンして、「へえ、なかなか面白そう
だね!」という雰囲気に変わっていくはずです。



もしも、そうならないとしたら、あなたの企画書と説明は、何かが足り
ないのです。
そういうときに、企画を通そうと、ごねたり、無理に説明を続けたり
しないで、反対に質問してみましょう。

「この企画書だと何が足りないでしょう?」
「気になるのはどの部分ですか?」
「どういうデータがあるとわかりやすいですか?」
「著者に確認したほうがいいと思われてるのはどの部分ですか?」

企画に足りないと思われているものが何か、ということを取材して
明確にしていきましょう。そうすると、企画の足りないところがわかる
し、次にはどんな準備をしたり、どこを詰めてくればいいのかが
わかります。



若いときは、企画会議で、ついつい、「なんでわかってくれないん
ですか!」という気分になってしまうときがあると思います。
企画者にとって、企画は自分の子どものような、分身のようなもの
に感じられると思います。
とくに、「企画を通そう!」と気負っていると、ますますそんな気分
が強くなります。
そして、企画を否定されると、精神的にはかなりダメージが大きい
ものです。



なので、まず、「企画を通そう!」と気負いすぎないことです。
企画会議で素直に会話のキャッチボールをして、誠意をもって
説明をして、それでも企画が通る雰囲気でなければ、とにかく、
取材モードに切り替えてしまいましょう。




すると、「お、この人は場の雰囲気を読める人なんだな」と
思われます。
ごり押しが、一番よくないものです。
企画の判定者だって、気分良く、「この企画は面白いね!
OKだよ!」って言いたいもんです。
でも、つらいけど、だめな企画だと思えば、「OK!」とは
言えないわけです。
ダメ出しするのは、人間誰だってイヤなものです。
だから、そういうときに、ゴリ押しは止めましょう。



企画会議は「会話のキャッチボール」をする場であり、
あなたが次にいい企画書を作ってくるために何が必要か
を知るための「取材の場」です。
あなたの勉強の場です。

企画会議は「企画をなんとしても通す場」ではありません。
その心構えで臨みましょう。
# by happymanager | 2010-12-17 00:12 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方3 初版を売り切るのが編集者の責任

本が売れる、売れないは、どこまで行っても、編集者の責任です。



私が新人のとき(もう20年も前か~(遠い目))、書協の研修で、
河出書房新社の営業部長さんのお話を聞く機会がありました。
そのときに、「初版を売り切るのは編集者の責任」という話を聞いて、
ものすごく感銘を受けました。以来、私の人生訓のひとつです。




初版が売り切れる本を作るというのは、読者層、著者、テーマ、
時期の設定を間違わないということです。
この設定は、誰がなんと言おうと、編集者に責任があります。

「いや、社長が口を出してきて」「上司が口を出してきて」という
こともあるかもしれません。
でも、人間対人間です。あなたが説得できるだけの材料と覚悟
があれば、よほど変な社長や上司でない場合、説得できます。
「誰かに左右されてしまった」という場合、その責任は、左右され
た自分自身にあるのです。




初版だけでなく、本が売れる売れないは、どこまでいっても編集者
の責任です。
売れない本は、つらいことだけれど、企画が悪いのだ、ということ
を受け止めて、前に進みましょう。




編集者には、「いい本なのに売れないのは読者が悪い」「営業が
悪い」という人もいるそうです。
でも、人のせいにしていたら、いつまでたっても、進歩がありません。
自分なりに、売れない本の問題点はわかると思います。
今度は、その問題点にひっかからない本を次に作ればいいだけの
話です。その売れない本は、いい試行錯誤になったのです。次に
進みましょう。



営業部は、売れる本を売り伸ばすのが仕事です。
売れない本を売るのが仕事ではありません。
売れない本を「もっと営業が動いて売ってよ!」と営業部にお願い
しても、きっと困ったなあと思われると思います。

「売れなくてごめんなさい。どうかもう手間はかけないでください。
次は売れる本作りますから、次の本を売ってください~」ぐらいの
スタンスでいましょう。そのほうが、営業部との関係はうまくいきます。
そして、あなたが編集者として成長できます。
# by happymanager | 2010-12-15 11:00 | 売れる本の作り方

売れる本のつくり方 2  著者を取材しきろう

単行本の企画を立てるときには、まずは著者に会いに行きましょう。
もちろん、会いに行く前には、その人の書いた著作は数冊は読んで行きましょう。



著者に会うというのは、もちろん「企画の依頼」なのですが、あなたのスタンスと
しては、「取材」と位置づけて著者のお話を聞くことが大事です。
著者との最初の打ち合わせでは、「著者を取材する」ことが一番重要です。
あなたの考える企画に賛同してもらうことよりも、あなたが著者の書いていること
をどれだけ知っていて覚えているかを示すよりも、「取材」することのほうが大事
なのです。



会って、お話しするときには、たとえ、もうあなたのなかですでに企画テーマが
ばっちり決まっている、という場合であっても、かならず、著者本人に、たったいま、
この現在、一番、著者が相手にしている人たちが誰であるのか、その人たちが
いまはどういう状態にあるのか、そして、その人たちのニーズは何か、著者の考え
を聞きましょう。



著者によっては、いま一番、相手にしている人は、読者かもしれないし、最近増えて
きた講演先のお客さんかもしれません。あるいは、最近増えてきたクライアントさん
かもしれません。
有名な著者や、ブログを毎日書いている著者で、「こんなこと聞いたら、”オレのこと
を調べてこなかったのか!?”と怒られるかな」とドキドキしたとしても、それでも、
かならず、直接会ったときに、「いま一番、相手にしているのは誰か」を聞きましょう。
たぶん、怒られることは絶対ありません。(笑)

具体的に聞くときのセリフとしたら、たとえば、私の場合は、著者の方が教師の方が
いまは多いですから、「先生の場合、読者さんや講演先の相手の方は教師の方が
多いと思うんですが、最近、とくにこういう人が増えてきた、こういう質問が増えてきた、
ということってありますか?」というような聞き方になります。




すると、「いままで、教師の方向けの講演が多かったのに、最近は親御さん向けの講演
を頼まれることが増えて、数が逆転しちゃいました」とか、「前は若い教師が来ていたけど、
最近はベテランも来るんです」とか、「最近、こんな質問が多いんですよ」という話が直接
聞けます。




これが、著者がいま、肌で感じている読者ニーズです。
あなたの考えてきたテーマよりも、そっちが面白そうだと思ったら、あっさり企画を変え
ましょう。
著者がいま感じていることのほうが、現場のニーズに近い場合が多いです。
ただし、もしも、あなたが聞いていて、「それはまだ企画になりそうにもないな」と思う
ならば、別に取り入れる必要はありません。
でも、必ず上記の質問は聞いておくことが大事です。
あなたにとって、「読者ニーズ」の把握の一環になるからです。



そして、あなたの持っていった企画のほうを話の中で進めたいと思ったら、その企画
について、読者にどう思われると思うか、著者の考えを聞きましょう。
すると、その企画にそったかたちで、読者により受け入れられる方向にするために
必要だと思われることを、著者のほうから話してくれると思います。



そして、企画が会社に通って、本を作る段になったときも、できれば著者を取材しつ
づけましょう。



たとえば、自分の場合は、著者は教師の方が多いので、企画が会社に通った後でも、
できるだけ著者の学校に通って、実際の著者の授業を見たり、あるいは著者が若手
向けのセミナーや講演会をするときにはできるだけ参加して、話を聞きます。
すると、著者が一生懸命力を入れてやっていることが何かということや、どこに苦労
しているかなどがわかります。

また、セミナーや講演会であれば、参加者の反応を見ましょう。そのためには、あなた
は後ろのほうの席に座っていて、参加者の様子を見守れるようにしましょう。
参加者の人たちの身体の動きを見ていると、うなずきが激しかったり、眠そうだったり、
よくわからないという雰囲気を感じたりできて、著者の話のどこの部分に感動しているか、
どこはつまらないと思ったか、どこを知りたがっているのかもわかります。
これは本づくりをするときに、「読者の視点ではどこを面白く思うのか」ということの
ヒントになります。

そして、セミナーの休憩時間には、まわりの参加者に話しかけましょう。
「すみません、本の編集者なんですけど、今度、○○先生の本を作りたいと思っていて…」
「今日はどうして参加されたんですか?」
「○○先生のどんな話の部分が一番興味があるんですか?」
「今日の話で一番よかったところはどんなところですか?」
「○○先生に、どんな話を書いてもらった本なら読みたいですか?」
「いま、教師の方たちって、どんなことに苦労されているんでしょうか?」
「いま、あなたが仕事の中で苦労されているのって、どんなことですか?

参考になる話が聞ける場合もあれば、そうでない場合もありますが、どういう年齢層、
性別、雰囲気の人が集まっているのかを知ることだけでも価値があります。
セミナーの参加者たちから受ける印象から、本のイラストや装丁の雰囲気をどんな
ふうにするのが、一番、その著者の読者層に合うものになるかということも、なんとなく
感じられるものだからです。




そして、こういう経験をしておくと、著者からもらった原稿を読んだときに、
「あの先生、こんなことを講演会で言っていて、そこが参加者に評判がよかったから、
この原稿のこの部分に付け加えてもらおう」
「この文章ではこう書いているけれど、本当はこういう意図を伝えたいのだろうから
言い換えてもらったほうがいいな」
などと、著者の面白さを、よりよいかたちで読者に伝えるための工夫がいろいろできる
のです。

これは、編集者がそのように原稿に関われるタイプの本の場合です。もちろん、著者に
よっては、「玉稿」として、一言一句、直すことがまかりならん、という場合もあります。
そういう場合でも、「先生、先日の講演会のこの話が面白かったので、ぜひ加筆して
ください」ということは可能だと思います。




読者ニーズをわかり、著者をわかった上で本が作れると、「売れる本」が作れます。
「編集」という仕事は、実は、取材をし続けるという仕事なのです。
# by happymanager | 2010-12-15 10:43 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方 1  何よりまず、読者を明確に設定しよう

新人の人は、「なんとなく、こんな企画が売れるんじゃないか」
と企画を立てると思います。



もしも、あなたが自分の好きな本を作っていいと、会社から
許されているならば、この企画の立て方はOKです。
だって、あなたがドンピシャの読者ターゲットのど真ん中な
わけですから。読者ニーズを一番わかっているのがあなた
ということになります。




読者ニーズに合わせて本を作れば売れますから、あなたの
ほしい本をそのまま企画にできるなら、その本はそこそこ
かならず売れます。
あなたが、よっぽど特殊な本ばかりを好む人でない限りは、
どんな本でも、たいてい3000人は買ってくれる本になる
でしょう。



でも、たいてい、「教育分野の本」とか、「法律分野の本」とか、
「ビジネス書の企画を」とか、きっとなにかしら、企画を立てる
にあたっての制約を与えられている場合が多いでしょう。



そして、誰もが、自分の経験してきたことを、そのまま生かせる
読者設定を会社に与えてもらえるとは限りません。



たとえば、教師なんて仕事を全然したこともないのに、教師向け
の本を作らなくてはいけなくなったり、

弁護士なんかやったことないのに、弁護士向けの本を作らなきゃ
ならなかったり、

公務員の経験なんてないのに、公務員向けの本を作らなきゃ
ならなかったりするわけです。





さあ、こういうときどうするか。
「なんとなく、こういうのが売れるかも」なんていうのは、こういう
場合、絶対に通用しません。




まずは、読者層になるその人たちに会える場に、できるだけ行き
ましょう。
実はこれは、たくさんの著者に会いに行くよりも大事です。
読者対象への取材経験こそが、あなたを編集者として一番育て
ます。



そして、「こういう者ですが」と名刺を出して、「今度、○○の立場の
方を読者対象にした本を作らないといけないので、お話を聞かせて
ください」と言って、その人の話を聞きましょう。
できるだけ、その人の生活を具体的に聞けると一番いいです。
たとえば、何時に起きて、どんな仕事をして、どんな人間関係に囲ま
れて…などの具体的なディティールを聞きましょう。





そして、大事なのは、その人が、仕事やその立場で、何を悩み、
どんなことに困っているのか、何が悲しいと思うのか、です。
それこそが、「読者ニーズ」です。


それから、どんな助けをほしいと思っていて、何を嬉しいと思い、
どんな状態を望んでいるかを聞きましょう。
それから、その人のまわりで同じ仕事や立場の人が、どんな
状態にあるのかを聞いてみましょう。




たとえば、私は教師向けの教育書を作ってるんですが、教師なん
て経験したこともないです。
だから、この分野を担当するように会社に言われたときに、とにかく
たくさんの教師の人に会うようにしました。
たぶん、最初の2ヶ月ぐらいで60人ぐらいとは話したと思います。
(もちろん、その後もたくさんの教師の方と会い続けています)



するとですね、
「クラスが崩壊しないようにというのが、いまの若い教師の目標なんです」
「ぼく、2年続けて、学級崩壊しちゃいました」
「うちの学校、いま20代の教師が増えて、5割にもなっちゃった」
「教師5年目なんですけど、忙しくて睡眠時間が5時間ぐらいしかなくて、つらいです」
「クラスをまとめる、ということがすごく難しい」
「うちの学校で、自殺した先生がいるんです…」
「隣のクラス、新人教師なのに1年生を担当させられて、ゴールデンウィーク
明けに退職願いが出ちゃったんです」
「発問を100問作ってみたけど、疲れた~」
「子どもが目を合わせてくれない」
「うちのクラス5年生なんだけど、女子がグループ組んで、僕の言うことを
全然聞かなくなっちゃったんです」




などなど、たくさ~んの悩みを、実に具体的に、その人の表情をひとつひとつ
見ながら聞くことができるわけです。




これが、あなたの血と肉になります。
というか、血と肉にするつもりで、一生懸命聞いてください。




人間ですから、話を聞くと、「ああ、この人はこういうことが悲しかったんだなあ」
「これが嬉しかったんだなあ」と一つひとつ、共感しながら聞くことになると思い
ます。




共感できたら、あなたはその人と同じ思いになることができます。





そうするとですね、著者の選び方ひとつ、タイトルの選び方ひとつ、言葉の選び方
ひとつ、違ってきます。
「あの人だったら、タイトルはこっちがいいと思うだろう」
「あの人だったら、こんな言い方の原稿を読んだら悲しいだろう」
「あんなに忙しいんだから、もっと手早くわかる内容にしないと面倒くさいだろう」
「こういう言い回しをされたら、きっと救われた気分になるだろう」
「こんなエピソードには絶対感動するだろう」
「あの人は、こんなふうに書かれた原稿を読んでも、難しいと感じるだろう」



そんなふうに考えながら、言葉を選ぶことができます。
それこそが、編集です。




別に、想定する読者はたった一人でなくていいです。
できるだけ、その読者層にあたる複数の人を思い描けるのがいいです。
すると、バランスが取れるからです。
そして、その「複数」の人たちが、どの人も「このテーマ」であればほしい
と思うだろう…と感じるテーマこそが、その読者層に売れるテーマになり
ます。





それから、この読者像を明確にしない限り、意味ある
編集はできません。





読者像が明確でないのに、なんとなく言葉をきれいに
整えている作業をしているというのは、売れる本づくり
には、なかなかつながりません。





読者像をくっきりと思い描いてください。
そして、その人やその人たちに語りかけるのに、一番最適な
言葉づかいを考え、最適な言葉を選んでください。



たとえば、あなたのお母さんを読者として設定した本をつくるとしたら、
ある原稿を読んだときに、この言い回しはお母さんが気に入るかどうか、
嫌がるかどうかはわかったりするでしょう?
どのぐらいの難しさなら、読んでもらえるかもわかるでしょう?
お母さんの反応を思い浮かべながら、ワンフレーズごとに読んで
いって、きっと「あ、ここの言い方はきっと嫌がりそうだなあ」などと、
一文一文に反応できると思います。
ちょうど、そんな感じの作業になります。




読者像を明確にして、あなたがその読者の視点になり
きって、タイトルを選び、文章を読み言葉を選び、イラスト
を選んでください。




本のすみずみにまで、透徹した視点として、
タイトル、装丁、見出し、文章、イラストすべてにわたって、
「読者の目」が、その本を貫いている状態になっていれば、
その本は、かならず売れる本になります。
# by happymanager | 2010-12-14 00:46 | 売れる本の作り方

売れる本の作り方は、わりあい簡単です

先日、後輩のMくんに、売れる本の編集の仕方をあれこれ伝授。


そしたら、
「そういう話、なんでみんなに教えないんすか。
ブログとかに書いといてくれたいいのに!」
と言われました。


え~、でもなあ、書いたら伝わるってもんでもないし、
面倒くさいしなあ、と言われた瞬間には思いました。



でもまあ、自分の考えをまとめる機会にもなるかもしれないので、
書いてみることにしました。
(Mくん、きっかけくれてありがとう)



まず、そこそこ売れる本の作り方はわりあい、簡単です。
ちゃんと基本を押さえて本を作れば、絶対売れる本になります。


ここで伝えるノウハウのレベルは、

★中小出版社で、初版、2500部~5000部だが、確実に増刷が
  重ねられる本をつくりたい

というレベルの人向けのノウハウです。



なので、一流大学卒で、大手出版社に勤務して、有名作家さん担当して、
人脈豊富で、初版10万部クラスの企画を常に3本は切り札として持って
います、というような人向けではありません。
(見城さんなどは、このクラスの人ですね)



「確実に増刷する」というのは、実はとっても重要です。
ベストセラーを出せればそれに越したことはありませんが、コンスタントに
ベストセラーを出せる中小出版社というのは、そんなに多くはありません。
企業にとってみれば、ベストセラー1本よりは、確実に増刷する本が100本
あるほうが大事なのです。
確実に増刷する本をコンスタントに作ることができれば、あなたはこの業界
で生き抜いていくことができます。



「自分の作った本を確実に増刷させる」というのが、とても大事です。
このブログではそれを、「売れる本の作り方」として考えます。



まあ、とりあえず、そんな前提で始めます。
# by happymanager | 2010-12-13 23:53 | 売れる本の作り方
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